2021年の今年の漢字が「金」に決まりましたね。
毎年、清水寺でお坊さんが大きな筆で一文字を書き上げる姿は風物詩になっています。
今回は一字書を書く時に、どういうことに気を付けたら良いか、作品例と共に紹介します。

一字書は書のジャンルの一種で、読んで字のごとく一文字の書です。(落款は別)
一字だけなので表現の幅が字数の多い作品より狭まりそうですが、工夫でなんとでもなります!
字をどこに置くか・余白をどう作るか

これは「金」を草書という書体で書いたものです。
この作品の大きなポイントは印を含めて左上に全てまとめ、大胆に余白を残し、デザイン性を打ち出している点です。
その他のポイントは書き始めの画を紙からはみ出させているところです。
はみ出させることによって、まだその先に続きがあることを感じさせ、広がりを生みます。
また、文字も印もパステルカラーを使っているので穏やかな印象になっているかと思います。
文字は動きが大きくエネルギッシュ、色は落ち着きというコントラストを出しました。

草書は読めないことが多いと思います。それは作品としてはプラスに働くことがあります。
楷書や行書で、しかも現代の言葉で書かれたものはダイレクトに我々の脳に再生されます。
可読性の低いものは、より視覚に訴え、想像する余地が与えられます。
他国語の音楽は、より音そのものに集中しやすい感覚ですね。
線に細工を加える

こちらも「金」ですが隷書という書体で書いています。
左右払いが山の形になっており、金のピラミッドのようですね。
こちらの作品で特徴的なのは、線の中で白くなっている部分です。
細い筆を使って、白色を使って効果をつけました。
あえてシワを作った紙に書いたり、ドーサ液と呼ばれる液体を紙に散らばせてから書く表現手法をVR上で再現してあります。(あまり書の分野では使われない手法です)
また、作品の右側のみにその加工を行ったので、左右で異なった風合いが出ていると思います。
4対6、7対3、もしくは全体に加工など、その加減1つでも雰囲気が変わってくるので、いろいろ試してみると良いでしょう。

1回目のVR書道教室でこの方法で作品作りをしていた人がいました。本人は遊びでしたものと言っていましが、いい味付けになってましたよ!
形に大胆な変化をつける

こちらは「仮」という字をデザイン書として書いたものです。
「金」もですが「仮」も画数が少なくシンプルな造形なので、形に大胆な変化がないと凡庸な仕上がりになりがちです。
通常、最後の右払いで文字が傾いて見えないようにバランスを取るのですが、中央に向かう2本の画が植物の茎のような役割を担っています。
この「仮」では縦に伸びる2本の画を軸としていることが大胆な変化の1つです。
このような変化をつけるときは、なぜそうしたのか自分の中で理由を持てると良いでしょう。

個人的にはVRの年だったので仮想空間の「仮」を選びました。
よく見ると右側にはVRという文字が隠れています!
背景を加える

こちらは文字自体は平易な書きぶりですが、字よりも大きな青い円をはみ出して描いています。
有彩色(赤、青、黄など)は2色までに抑えると、書作品としてシンプルでまとまりが良くなります。
多くても有彩色は3色までが無難でしょう。
あえて、華美に仕上げるなら様々な色を使うのもアリだと思います。ただ、散漫になったり、俗なものになりがちなので注意が必要です。
この時、無彩色(白、黒、灰)は色数として数えなくても、大きな問題ではないでしょう。
今回は有彩色の色数を抑えるために、印は赤ではなく無彩色の白でまとめました。
普通に絵を入れるのも良いですが、絵がメイン級の役割を果たす場合が出てくるので書作品ではなくなっているかもしれません。

通常の書は「黒」+「白」+「赤」で有彩色が1色、もしくは「黒」+「白」の有彩色なしで構成されていますね。ただ、厳密には紙は純白というよりはやや黄味を帯びていることが多いですね。
まとめ・お知らせ
一字書について、4つのテーマに分けて紹介しました。これはほんの一例ですが、参考にしてもらえるとうれしいです。
一字書は心理的なハードルが低く、取り掛かりやすいのでぜひトライしてみてください。
また、2021年12月15日(水)に大雪期のVRC書道教室を開きます。20時30分から約90分の予定です。
お題は「私の今年の漢字」です。思いつかない!って人は「金」を書きましょう。
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