楷書と言われて頭に浮かぶのは?
私たちに最も馴染みある書体である楷書。
楷書の字を思い浮かべてみてください。
その時に想像するものは書写で習ったような、かなり整ったものではないですか?
実は楷書にもいろんな表現がありますので是非知っていただきたいです。
何回同じ題材出すんだよ!って声が聞こえてきそうですが、もう1回だけ「地始凍」を使わせてください(汗)
1、書写的なタイプ
まずは皆さんが思い浮かべるようなものがこちらかなと思います。
これは以下の記事で掲載した、平易な楷書ですね。
だいたい始筆(書き始めの部分)が45度くらいで~というのは書写で聞いたことある人も多いのではないでしょうか。
洗練されて見やすい、読みやすいかと思います。
書写的ですが、書写よりもややキリっとした印象が加えられています。
一本の画は「始筆・送筆・終筆」と言われる3つの筆遣いで出来ています。
「起筆・送筆・収筆」と言われることもありますが、前者の方がメジャーです。
2、穏やか・すっきりとしたタイプ
さて、こちらはどうでしょうか?
特徴的なのは、さっきよりも始筆や点画がゴツくなくって、偏と旁(つくり)の間が少し広いです。
先程の1枚より穏やかさ・落ち着き・やさしさ・清さ・静けさ・水っぽさなどの印象を感じられないでしょうか。
そういった印象の作品に仕上げたいときは、前述の特徴を意識して書くとよいでしょう。
「地」のハネが払いに変わってますね。
「え、ここってハネでしょ?」って思われるかもしれませんが、実はこういったパターンの楷書も昔からあります。
3、角張って太いタイプ
これは大きく雰囲気が異なりますね。
「六朝楷書」(りくちょうかいしょ)という楷書のジャンルのがあり、それを元にしたのがこちらです。
「六朝楷書」にもバリエーションが色々ありますが、これはその中の一種で、太くギュッと字の密度が高いですね。
力強さ・男っぽさ・険しさ・岩っぽさ・鉄っぽさのようなものが感じられそうです。
「六朝楷書」は中国の昔の国である北魏(ほくぎ 386~534年)という国で発達した楷書の一種ですよ。
4、筆の浮き沈みがあるタイプ
最後は線が震えているようにも見えますね。
これは筆を紙の上で少し浮かせたり、沈ませたりして抑揚をつけています。
また、始筆も筆先をぐるっと巻き込んでいたり表情が豊かです。
この作品からは儚さ・寂しさ・木っぽさなどの雰囲気が感じられそうです。
下手な感じにも見える作品ですね。
これが上手いか下手かは置いておいて、書は上手い=良いとは限りません。
まとめ
楷書にも色々あることがお分かりいただけたでしょうか!
今回紹介したものは、それぞれ実在する古典のものからそのエッセンスを取り込んで書いたものです。
まだまだ取り上げていない種類の楷書がありますが、今回の記事で「この作品からはこんな印象を受けるな~」ということを感じてもらえたら嬉しいです。
「穏やかさ」とか「木っぽさ」とかはあくまで例なので、皆さんのそれぞれの感性で自由に受け取ってくださいね!
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